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2022.03.12

後腹膜腔から発生した血管肉腫に対して外科手術を行った症例

10歳5ヶ月のゴールデンレトリバーのわんちゃんで、血腹(腹腔内に血液が貯留した状態)、元気食欲の低下を主訴に初診で来院されました。

約3週間前にも同様に血腹になっており内科治療で改善したとのことでした。今回は前日から体調を崩し夜間の病院にて検査をし止血剤などの内科治療を行っていました。

当院にて血液検査、X線検査、腹部超音波検査、CT検査を実施し下腹の腹腔内腫瘍と診断し早急に手術を実施しました。
背側の大血管に沿って腫瘍が存在していました。
手術当日は輸血も実施しました。
CT検査と手術所見、病理組織学的検査から後腹膜腔の血管肉腫と診断しました。

後腹膜とは腎臓や尿管などの尿路や大動脈や大静脈などの大血管を覆う背側に存在する膜組織です。
犬において血管肉腫の多くは脾臓に発生することが多いですが、後腹膜腔も好発部位となっております。
血管肉腫は腫瘍内に血液を多く含み出血しやすい腫瘍です。

術後は一般状態も良好で、術後の化学療法(抗癌剤)を実施しています。

下腹部のX線検査です。
黄色の枠内に腫瘍が存在しています。

術前のCT検査です。
大きな腫瘍(黄色枠)が下腹部に存在し他の臓器を圧迫しています。

腫瘍の外貌です。

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